越境ECのトレンド2021最新版(中国入門編)

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中国越境ECの始め方を優しく詳しく解説します。

ちまたに溢れている情報は、古かったり、コンサル視点で述べられていたり、とにかく分かりにくいと思いました。筆者の経験を元に、2020年初頭情報で要点を整理しました。

 

中国越境EC概要

 

日本の物を中国で売るためには「売る手段」と「宣伝方法」を考える必要があります。

売る手段は主に3パターンあります。

  • 貿易
  • 越境EC
  • 輸入代购
手段 長所 短所
貿易 (個人で貿易をやるメリットはありません) ・許可証取得など、貿易できるようになるまでに時間がかかる(長いと年単位)
・主な品種は先駆者により貿易比率が定められており、後期の参入は厳しい
・中国側輸入業者のパートナーが必要
越境EC(保税区) ・関税が安い
・保税区に納品する時に一括大量発送すれば送料は安い
・中国人で、個人で買える限度額がある(1回あたり/年度)
・売る側として、個人で保税区を扱うハードルが高い(中国に会社が必要、など)
越境EC(個人輸入、直送)※1 ・個人/小規模で始められる
・極論を言えば、中国側にパートナーが居なくても何とかなる
・個人の発想/想像次第でマイナーな商品も売れる
・関税が高い。物によっては30%、50%など。こちらを参照
・都度国際発送の送料がかかる
輸入代购

※2

関税をスルーしている(つまり違法) ・運ぶ人が必要
・入国時のチェックが厳しくなり、輸入代行ができなくなっている(代购法)

【補足】※1 中国人から見れば個人輸入、日本側から見れば(中国人へ)直送という意味です。

※2 輸入代购とは、日本で物を買って、中国入国時にスーツケースに物を入れてこっそり持ち込む方法の事です。いわゆる「爆買い」などはこれに相当します。

基本的に、関税きちんと払ったものを売りましょう。

本記事では売る手段の「越境EC」を中心に記載します。

【補足】ただ、いずれの方法でも最大のポイントは「宣伝方法」=どうやって中国人に知ってもらうか!です。

対中国越境ECの方法

越境EC検討項目

越境ECというのは国を超えたECの事です。

つまり、私たち売り手側が開設したショッピングサイトを中国人に見てもらって、商品を買ってもらうということです。

売りたいものが既に決まっているとして、上記を実現するための検討項目は

  • ショッピングサイト本体
  • 宣伝サイト、ランディングページ(絶対必須ではないが、ほぼ必須)
  • 宣伝方法
  • 物流方法
  • 免許に関する知識(許可証の取得は個人ではほぼ無理なので、そのルートはあきらめて別の方法を模索する)

越境ECショッピングサイト本体の検討項目

プラットフォーム 長所 短所
中国国内のサービスを使う(天猫、天猫国際版、京东、京东国際版)※1 ・商品の出品から、購入、支払いまで全てサービス側でやってくれる
・少量ではあるが、サービス側で宣伝もやってくれる
・日本国内で出店代行してくれる会社が多い
・出店手数料、販売手数料が高い
・出店代行に依頼するとさらに高額になる(店舗を開くのに500万、そのうち200万は保証金、など)
・よほど有名なものじゃない限り、サービスで作ったショッピングサイトそのものを百度検索結果に表示させることはできない(淘宝も同じ)
中国国内のサービスを使う(淘宝・淘宝国際版・企業淘宝)国際版は一般のみ ・出店手数料が安い
・淘宝企業アカウントであれば、イメージの問題をある程度クリアできる
・中国人の認識で偽物が多いと思われている
・企業淘宝を作るには中国に会社が必要(営業許可証)
中国国内のサービスを使う(跨境通) 保税区の説明参照 保税区の説明参照
日本で自前で作る(自社プラットフォームを開発する) ・やり方次第では安く始めることができる
・中国国内のサービスを使った場合に必要な手数料など、余計な経費が掛からない
宣伝方法が無い(自力で宣伝する必要がある)

※1 国際版というのは売り手側が外国の場合です。

いずれの方法でも、ショッピングサイトをデザインする知識は必要です。

どうしても中国国内のサービスを使いたくて、けど自力で参入できない人は、既にプラットフォームを持っている人から間借りして出品するというテクニックもあります。

【注意】中国国内のサービスでWeChat系列の「微店」というのもあるのですが、これは誰も使っていないので、これを使ったコンサル/プロモーション効果は低いと思います。堂々とこれでコンサルしている会社もあります。

宣伝サイト、ランディングページの検討項目

ただショッピングサイトがあるだけでは宣伝が難しいので、宣伝専門のサイトも作ります。このサイトプロモーションして、目的のショッピングサイトに誘導します。

宣伝サイト 長所 短所
中国でサイトを公開する/中国のサーバーを使う ・ICPライセンスを取得することができる
・ICPライセンスがあると、サイト(ひいては商品そのもの)の信頼性が上がる
・百度リスティング広告やテンセントDSP広告(後述)を使うためにはICPライセンスが必須
ICPライセンス取得のハードルが高い
→営業許可証(中国国内に会社があること※)
→中国のサーバーが既に調達済み(サーバー会社によっては、調達にもハードルあり)
→ドメインの実名認証
・ICPライセンスとは別に、管轄公安の許可証が必要
日本でサイトを公開する/日本のサーバーを使う 楽にサーバーが調達できる 百度リスティング広告やテンセントDSP広告が使えない

今後本気で一生中国でやっていくつもりなら、中国サーバであることが必須だと思いますが、ひとまず越境ECを試してみるという段階では日本サーバでもOKです。

なお、中国に外資系企業を設立して営業許可証をとるためには、初期投資として最低でも300万円以上必要だと言われています。

越境EC物流方法の検討

検討項目 長所 短所
中国保税区を経由する ・商品を保税区に預けるだけで良い
・面倒なことは保税区が全てやってくれる
→関税の支払い
→購入者への商品発送、など
・保税区管轄の販売アプリ「跨境通」が使える
・跨境通APIを使えば、淘宝ショッピングモールで購入しつつ、保税区から商品発送という良い所取り構成ができる
・管理機関への商品登録無しで商品が売れる(後述)
・関税が安い。1x%くらい
・保税区に越境EC申請するハードルが高い
→会社が中国にあること
→時間がかかる(1年位ざらに)
→難解な中国語
関税のデポジットを最初に預ける(商品代が合計500万であれば、60万といった具合に)
・「跨境通」アプリの知名度が低い
・跨境通APIの仕様変更が多く、不意に使えなくなったりする
・一応、保税区まで商品を持っていく(送る)手間はかかる
自前で行う 直ぐにサービスが開始できる ・自前で物流ネットワークを用意する必要がある(多売するとそれだけで面倒)
・関税の支払いなど経理処理も必要
・関税が高い。30%くらい

便利だけど使うハードルが高い保税区ですが、既に保税区が使える人にお願いして間借りするというテクニックもあります。

保税区の中には店舗という形で売り手存在しています。店舗と日本側の企業は1対1なので、店舗を増やせば多くの日本企業が入れます。店舗を増やす対応は、保税区の新規申請より簡単です。

一度保税区を開いてしまえばさまざまな商品が取り扱えます。ただ、ネット販売の免許は別途必要です。ここも、持っていないのであれば、既に持っている人に間借りするポイントです。

中国越境ECの免許

免許は2種類あります。全体像が複雑なので、ここでは概要のみ述べます。

  1. 管理機関への商品登録(化粧品であればCFDAのこと)
  2. 商品をネットで売る時の免許

この部分は頻繁に法律が変わるので、始める前に自分で調査することをお勧めします。記事は2019年5月の段階です。

管理機関への商品登録に関しては以下のように適用されます

  • 人体に影響を与える物を売る時は商品登録が必要(食品、化粧品、薬品、など)
  • 人体に影響を与えない場合は不要(服、文房具など)

例外として、保税区から商品を発送する場合は前者でも商品登録は要りません。

ネット上では「化粧品を保税区経由で売る場合でもCFDAが必要」みたいな事が堂々と書かれていますが、実際は要りません(2019年5月現在)

ただし、今は必要なくても、いきなり法律が施行されて、許可が必要になる可能性はあります。

商品をネットで売る時の免許に関しては以下のように適用されます

  • 中国国内のサービス国際版(淘宝国際版など)を使う場合には要らない
  • 上記以外は必要

ネット販売免許を取得するには中国の会社が必要です。1品目半年くらいかかります。

まとめると、

売りたいものAは人体に影響があるもの、Bは無いものとして、

ECプラットフォーム 物流拠点 売りたいもの 商品登録 ネット販売免許
保税区(跨境通) 保税区 A/B 不要 必要
保税区(跨境通API+外部) 保税区 A/B 不要 必要
淘宝、京东、天猫 中国国内 A 必要 必要
淘宝、京东、天猫 中国国内 B 不要 必要
淘宝、京东、天猫 なし(直送、代购) A/B 不要 必要
淘宝、京东、天猫(国際版) 中国国内 A 必要 不要
淘宝、京东、天猫(国際版) 中国国内 B 不要 不要
淘宝、京东、天猫(国際版) なし(直送、代购) A/B 不要 不要
自前 中国国内 A 必要 不要
自前 中国国内 B 不要 不要
自前 なし(直送、代购) A/B 不要 不要

免許が必要なパターンを個人で開始するハードルはとても高いです。

対中国宣伝方法を極める

宣伝方法 広告範囲 長所 短所
百度リスティング広告 百度検索結果に表示 Googleと同じ手法がある程度通用する ・ICPライセンスが必要
・審査が厳しい
・リスティング広告の知識が必要
テンセントDSP広告 ゲーム、アプリ、WeChat、などテンセントが携わる領域全般(想像もつかない位超広範囲) ・広告の展開範囲が広い
・専門知識が必要だが、分かればかなりきめ細かく広告戦略が作れる
・同上
・申請の段階で、代理店を15社集める必要がある(2019春の段階では15社)
有名人に宣伝をお願いする その人のフォローワー 日本に居ながらも広告できる ・有名人の人なりに広告の成果が左右される事がある
・人によってはコストが高い(コンサルタントに依頼するともっと高い)

上記全てを平行導入することも可能です。

百度リスティング広告

百度検索した時に「广告」と表示されているのがリスティング広告です。リスティング広告の内容は、検索キーワードによって異なります。図は「枕」で検索した場合です。

【補足】百度では、まず先頭にリスティング広告が表示されます。次に、検索結果が続いて表示されます。

百度リスティング広告をやるにはICPライセンスが必要なので日本に居てはできません。

テンセントDSP広告

DSP広告というのは、お客さんの性質に応じて最適な広告を配信する仕組みです。テンセントはDSP広告をやっています。

上記のような感じで広告が表示されます。

テンセントは私たちの行動履歴を全て持ってるので、それに応じて広告を配信するのは朝飯前です。

  1. 広告主(つまり私たち)が、広告コンテンツと表示条件を設定する
  2. テンセントのアプリ(WeChat/ゲームなど多岐に渡る)で該当のアクセスがあった場合は広告を表示する

こんな流れです。

表示条件で設定できるものは実に多いです。

  • 時間/曜日
  • 年齢、既婚、独身
  • 出身
  • 家族構成
  • 収入
  • 1回の買い物の平均額
  • 月のトータル
  • 車の有無
  • などなど

テンセントが情報として持っているものは、全てDSP広告の材料になっていると思ってください。

テンセントDSP広告も日本に居てはできません。

有名人(网红)に宣伝をお願いする

网红とはネット上の有名人のことです。現状では、日本に居ながらも中国にプロモーションできるのは、ほぼこの方法のみです。インフルエンサーと言います。

予算との兼ね合い

検討項目 対応
予算(大) 影響力が絶大な网红に依頼する
予算(大~中) 対中国インフルエンサーに詳しい人にコンサルを依頼する
予算(小) 自分が网红になる、自分で网红を探す

影響力が絶大な网红はネットで調べれば直ぐに分かると思います。彼らは何らかのプロダクションに所属していたり、代理人が居たりで、仕事を受けることに慣れているので、多大なお金さえあれば気前よく受けてくれるはずです。

「自分が网红になる」で成功したのは、

ビリビリ動画で有名な山下さんです。それくらい有名になれば自身の力で宣伝可能です。

宣伝媒体

宣伝媒体 長所 短所
Weibo(微博) (なし) 今はもう誰もやっていない
TicTokなどの新興勢力★ 多くの中国人がこれをやっている ・网红に依頼するコストが高い
・何が新興勢力か現地(中国)でトレンドを追わないと分からない
WeChatモーメンツ ・現地に居れば気軽にWeChat友人を集めることができる
・発信も気軽に行える
宣伝として威力が弱い

宣伝媒体は「TicTokなどの新興勢力★」一択で良いと思います。

  • 抖音・・・中国のTicTok
  • 小红书・・・写真+ストーリー(文章)アプリ
  • 快手、映客・・・ライブ放送(映客はゲームばかりなので、商品宣伝には向いていないかも)

小红书の画面は↑です。

未だにWeiboを使おうとする人(コンサル)が居るので注意です。その人は2年前で時が止まっているか、中国に行った事がないかの、どちらかです。

Weibo時代から今までずっと人気で現役な网红なら話は別です。

有名人(网红)に宣伝を依頼←いくらかかる?

コンサルタントに依頼した場合、小红书でそこそこ人気(フォローワー5~10万人)の人に、1回だけ1記事書いてもらうのに必要な経費は3万元(約50万円)です。

越境EC入門まとめ

 

現状で、対中国越境ECを一番低予算/低リスクで開始する方法は

  • ECプラットフォームを既に持っている人を探し、協力してもらう(間借りする)
  • 中国保税区についても↑と同様

  • 宣伝用サイトを日本国内に立ち上げる
  • 自分が网红になる/自分で网红を探す、などの方法で、商品を新興勢力媒体上で宣伝する

まずは上記の4点を抑えることになります。

上記以外のアプローチでも長所はありますが、少なくとも「一番低予算/低リスク」ではありません。

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